「ポスト・グーグル時代におけるWebサービス米国最新動向と国内展望」

「ポスト・グーグル時代におけるWebサービス米国最新動向と国内展望」
https://shop.ns-research.jp/3/8/11150.html
に参加してきた。


主にB2Cの話が多く、テクノロジーの話題が少なかったが、現在、そしてこれからの国内のWEB市場の動向をつかむ事ができた。以下に各セッションの内容と共に私見を交えて書きたいと思う。

第1部
講師:土屋 継
サイボウズ・メディアアンドテクノロジー株式会社代表取締役社長)

サイボウズ・メディアアンドテクノロジー社は、サイボウズの子会社で主にWEBサイト分析等のリサーチを中心に行う事業を展開している。CMT社では、過去のリサーチ結果を元にB2Cビジネスがどのように変遷し、今後どういった分野がフォーカスされるかという内容であった。
コンシューマビジネスは大きく流動的である。2004〜2007にかけては、ポータルの地位は大きく低下した。
女性向けサイトを例として上げていたが、2004に@womanという女性向けポータルが一位であったものが、2007にはランク外となり、COOKPAD( http://cookpad.com/ )のようなユーザの特定のニーズを満たすサイトが急上昇している。ゆえに、ユーザは、いろんな情報が集まったサイトを必要としてなく、特定のコンテンツを求めているということがいえる。
これらの要因は、Googleに代表される検索技術の向上。これが、ポータルの必要性をなくしているためである。

しかし、まだ検索エンジンも十分にユーザのニーズを汲んでいる訳ではない。
これは、以下の欲しいものと到達手段に関して、3フェーズを表した表で説明されていた。

欲しいものに辿り着く3遷移

欲しいもの  分かっている 分かっている 分からない
到達手段   分かっている 分からない 分からない

現在、検索エンジンを用いて情報を引き出すという行為は、一番左の「欲しいものが分かっていて、到達手段が分かっている」状態を救えているが、「欲しいものが分かっているが、到達手段が分からない」場合は、検索することができない。
例えば、「渋谷でカラオケをしたい」という場合は、検索する際に、「渋谷」「カラオケ」というキーワードが抽出され、「で」「をしたい」等、助詞や動詞にあたるものは、削除されている。

これらを加味した情報を扱うためには、コンテンツ検索ではなく、コンテクスト検索が重要となる。これは、セマンティックWEB化していく昨今よく言われていることでもある。
要素技術としては、エージェント、自然語検索の二つがあげられ、特に自然語検索は米Powerset社が1000万ドルを調達し、Googleへと迫っている。最近は日本語においても精度が高く、来年辺り各本面で商用のサービスがでてくる様子だ。
セマンティックWEB化しなくても、現状のインターネットでも相応の技術は確立してきている模様。特に、日本語での構文解析技術は以前は未成熟なものが多かったが、ここにきてようやく花開いてきているようだ。

第2部 Webサービス米国最新動向と国内展望
講師:渡部 薫
(SBI Robo株式会社 代表取締役執行役員CEO)

インターネットは、様々な分野で破壊的イノベーションを起こしてきた。手紙、電話、新聞、メディア(映像、音楽、写真)等。
まだ、破壊的イノベーションが起きていない領域は、ビジネスと送金コストである。
要は、楽天のサードリアリティとコンセプトは同じで、今後は、WEB上に新たなビジネスを行う基盤ができてしまうということが主な内容となる。

Googleが検索市場で優位に立てているのは、PageRankといわれるWEBページの独自ランキング技術である。
これが、WEB上のコンテンツだけでなく、人にシフトしてきているのが2008年の状況である。実際にGoogleソーシャルグラフサービスであるOpenSocialやLinkedin(米転職SNSサイト)など、人と人のつながりをランキングするサービスが台頭してきている。
このようなサービスが普及した先は、今、物販の流通に起きていることと同じく、人についてもロングテール化が進む。
大企業の誰々さんではなく、何ができる誰々さんという風にスキルベースで人が結びつきビジネスが行われる。
人材やビジネスが流動化し、その中で仮想通貨などの流通も徐々に視野に入ってきているようである。
SNSmixiのようなプライベート目的だけではなく、ビジネスSNSと切り分けた活用も今後広がるとのこと。
実際に日本でも、Linkedinの日本語サービスが、そろそろ始まるとのことである。このような話題は梅田望夫さんの「ウェブ進化論」でも書かれていたが、ここ二、三年で、実際に加速するようである。
流通業では、ディスカウントストアを通じることなく、WEBによる直販サイトで販売ができるようになり、特色のあるモノにフォーカスが移っている。これが大企業と個人の中にも適用できる構造となる。